裁判員制度と死刑ってどう関係しているの?
この2つの間にはとっても深い関係があるんだ。
裁判員制度は市民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度で、 殺人罪や強盗致死傷罪などの重大な犯罪について、有罪か無罪かの判断と、有罪の場合には量刑の判断を行うことになる。
だから、死刑にするか無期にするかの判断に、市民である裁判員がかかわることになるんだよ。
裁判員をつとめる市民は、この「森のおひさま教室」で勉強して「死刑廃止が望ましいこと」を十分に理解したうえで、できる限り死刑を回避する努力をして欲しいと思うよ。
裁判員をつとめる市民は、この「森のおひさま教室」で勉強して「死刑廃止が望ましいこと」を十分に理解したうえで、できる限り死刑を回避する努力をして欲しいと思うよ。
裁判員に選ばれた市民は、死刑か無期懲役かの量刑判断を求められることになります。
どんな事件であっても絶対に死刑は適用しないという確信的な死刑廃止論者は裁判員に選定されないかもしれませんが、大部分の市民は迷いながら裁判員をつとめることになるでしょう。
最高裁判所の判例(1983年7月8日判決。いわゆる永山判決)があって、
「死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、 遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大あつて、 罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない。」
とされています。
しかしこの永山判決から、死刑か無期懲役かの量刑の違いが明確に示されるているわけではなく、プロの裁判官の間でも、死刑か無期懲役かが分かれる事例はたくさんあります。
兵庫県洲本市で2015年3月、近隣の男女5人を刺殺したとして殺人と銃刀法違反の罪に問われた被告の控訴審の判決公判が2020年1月27日、大阪高裁でありましたが、裁判長は、死刑とした一審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄し、被告は心神耗弱だったとして無期懲役を言い渡しました。
2009年の裁判員制度開始以降、裁判員に選ばれた市民らが審理した一審の死刑判決が二審で破棄されたケースは、7件目となります。いずれも二審で無期懲役となり、5件は最高裁で確定しています。
また誤判が取り返しのつかない結果をもたらすことから、慎重な判断をするために、事実の認定も、死刑か無期懲役かの量刑判断も、裁判員・裁判官全員一致で行うべきだと思います。