Q&A

死刑がなかったら、受刑者はすぐに仮釈放されてしまうの?

死刑がなくなってしまうと、ひどいことした人もすぐ刑務所から出てきてしまいませんか?
それを考えると少し怖いです…。
実際にはそんなことは起こらないよ。

現在の法律で死刑の次に重い刑罰は無期懲役と呼ばれるもので、 法律の条文には、無期懲役の場合、10年過ぎると仮釈放ができると書いてあるけれど、実際にはほとんど仮釈放にならないよ。
だから死刑がなくなっても、すぐ刑務所から出てくるなどということは現実にはおこらないよ。

おひさま弁護士のよくわかる解説

現在の無期懲役について、法律の条文には、10年を経過した後仮に釈放することができる(刑法28条)と定められていますが、 実際には仮釈放はものすごく運用が厳しくなっています。

法務省の「無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について」2019年12月によれば、無期刑受刑者約1800人のうち、仮釈放になる人の数は、「平成21年から平成30年までの間に仮釈放された無期刑受刑者は,最も多かった平成27年及び平成29年には11人」、「最も少なかった平成21年には6人」ですから、毎年、10人前後に過ぎません。「平成21年から平成30年までの間の無期刑仮釈放者数は,延べ89人」ですから、平均すれば10人にも満たない状況です。

1800人も無期刑がいるのに、仮釈放になる人は、毎年10人にもならず、その人たちが仮釈放になるには、「平成21年に30年2月であったところ,平成22年及び平成23年には35年を超えていましたが,平成30年は31年6月となっています。」とのことですから、30年以上収容されないと仮釈放になりません。

実際には40年、50年と収容されている人たちが多数いるわけです。

また、「この10年間に刑事施設内で死亡した無期刑受刑者の数は,合計210人であり,仮釈放となった無期刑受刑者の数を上回っています。」

ですから無期刑受刑者の大半は、仮釈放されないまま刑務所内で死亡しているのであり、無期刑は「終身刑化」しているわけです。

★日弁連「死刑を考える」ホームページ

「死刑判決は増えているのですか-厳罰化する日本」
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/criminal/deathpenalty/q02.html