本当に日本には死刑は必要なの?

「あの戦争は何だったのか 歴史の教訓として子や孫に伝えたいこと」杉浦正健著  文藝春秋企画出版部  

りす
 元法務大臣で死刑の執行をしなかった杉浦正健先生(日弁連死刑廃止検討委員会顧問)が、最近、「あの戦争は何だったのか 歴史の教訓として子や孫に伝えたいこと」を出版しました。杉浦先生は昭和9年愛知県岡崎市の農村で生まれ育ち、昭和20年8月15日の敗戦の日を「軍国少年」として迎え、「この戦争は何だったのか」という疑問を抱き、70年の歳月が経過した今、「あのような『やくたいもない』戦争を遂行するという選択は、わが国の歴史、その精神的・文化的伝統の線上からはどのように考えても出てこない」と明快に論じています。
 
 「ふるさと」への愛情から説きはじめ、「明治維新以後、日本が国境を越えて出兵し戦火を交えたすべての戦争を、日清戦争に始まりあの戦争に終わる『50年戦争』として捉え」る視点から書き進めてあります。
 
 また「悪しき日本の残像」として「靖国問題ー合祀者の拡大」や、さらには「遺伝子に刻まれた島国根性」として「歴史認識問題」、「死刑廃止問題」についても縦横に論じています。例えば、死刑については、「OECD加盟国中、唯一日本のみが廃止もせず執行の停止もせず、政府として廃止の検討すら行わず、孤高の状態を保っている。まさに『井の中の蛙』である。」(192頁)と断じています。
 
 私の所へは、新左翼や右翼からも機関紙が送られてくるのですが、自民党の国会議員で元法務大臣だった方が「こんなにはっきり物を言っていいのかな」と、感じさせるような名著です。是非、ご一読をお薦めします。アマゾンや一般の書店で購入することができますが、霞ヶ関の弁護士会館地下の書店でも購入することができます。
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