本当に日本には死刑は必要なの?
死刑廃止議連総会報告
2011年2月16日、死刑廃止議連の総会が衆議院第2議員会館で開催されました。村越事務局長はかねてから総会をフルオープンすると述べており、この日の総会もマスコミに公開され、私も傍聴しましたので、ご報告します。
1 人事面での最も重要な決定は、自民党の中川秀直氏(自民党の元幹事長)が総会に出席し、会長代行に就任したことだと思います。今後、議連の法案を自民党内で議論する際に、大きな力を発揮してくれると思います。村越事務局長が当日ぎりぎりまで総会への出席を働きかけていたようです。
2 「重無期刑の創設及び死刑に処する裁判の評決の特例等に関する法律案・概要(案)」の骨子は下記の通りです。
第一 趣旨
この法律は、死刑に処する裁判をより慎重にするため重無期刑の創設及び死刑に処する裁判の評決の特例について定めるとともに、死刑制度調査会の設置及び死刑の執行の停止等について定めるものとすること。
第二 重無期刑の創設
1 法定刑として死刑が規定されている罪について、死刑と無期刑の間の中間刑として、重無期刑を創設すること。
2 重無期刑については、仮釈放を認めないこと。
関連事項
・死刑、重無期刑及び無期刑の言い渡しを受けた者に恩赦上申権を認める(重無期刑は15年後、無期刑は10年後)
第三 死刑に処する裁判の評決の特例
1 裁判における死刑に処する旨の刑の量定は、構成員の全員一致の意見によるものとすること。
2 裁判における刑の量定について死刑に処すべき旨の意見が構成員の過半数の意見である場合であって、1により死刑に処する旨の刑の量定をすることができないときは、重無期刑に処すべき旨の意見が構成員の過半数の意見であるものとみなすこと。
関連事項
・全員一致要件は裁判員裁判・裁判官裁判の両方に適用される。
第四 死刑制度調査会
1 死刑制度の存廃その他の死刑制度に関する事項について調査を行うため、平成27年3月31日(施行日の3年後)までの間、各議院に死刑制度調査会を設けること。
2 死刑制度調査会は、1の調査を終えたときは、調査の経過及び結果を記載した報告書を作成し、これを各議院の議長に提出するものとすること。
第五 死刑の執行停止
平成28年3月31日(第四の1の死刑制度調査会設置期間の満了の日から1年後)までの間は、死刑を執行しないこと。
第六 施行期日
この法律は、平成24年4月1日から施行すること。ただし第五は、公布の日から施行すること。
3 村越事務局長によれば、この法律案はこれまでの議連の法律案(平成15年案、平成20年案)の全てを盛り込んだ「フルスペック」であり、議場に持ち込んで大いに議論したいとのことです。ただ、今日の総会でこの法律案を議連案として正式に決定はせず、これから更に議論を重ね、3月頃に再度議連総会を開催して決定したいとのことでした。
また「議員提出法律案」の提出要件についての説明があり、法律案の提出者、賛成者の属する会派の機関承認を要するとのことで、これから各政党の機関承認を求めていくとのことですが、機関承認までには相当にハードルが高そうな印象でした。
4 しかしいずれにしても(どれほどハードルが高くても)とにかくこの法律案をたたき台にして、マスコミにも働きかけ、市民の間に広範な議論を巻き起こし、死刑判決を減らし死刑執行停止をどうやって実現するのか、これから現実的な議論と活動を重ねる必要があると痛感しました。